第7話「ボビーさんの社内恋愛」【元ネタ解説】

読みもの

 

ここではネタばれというかネタばらしとして、マンガの中で使っている元ネタについてちょっとお話しします。今回は第7話「ボビーさんの社内恋愛」についてです。

 

ボビーさんの社内恋愛

 

 

ジェームス・ブラウン氏もお気に入り!ヴィッキー・アンダーソンさんとは

 

 

今回の話は、ボビー・バード氏とヴィッキー・アンダーソン氏の間のラヴ・ストーリーをサンプリングしています(もちろん給湯室でチョメチョメなんてことはなかったでしょうが)。

 

 

ヴィッキー・アンダーソンは1965年ごろにJBレビュー(楽団)に加入。ボビー・バードと結婚した時期なんですが、わたくしの調べた限りではいくつか出てきて(単にわたしの英文の誤読かもですが)どれがホントかわかりませんでした。

 

 

しかし、JB楽団に籍を置いた女性は皆、ジェームス・ブラウン氏と何らか関係を持ったというふうに言われています。ヴィッキーさんもそうだったんでしょうかね。

 

 

そのへんを匂わせるエピソードの一端が、映画「ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜」でも描かれています。この記事書いてる時点ではちょっとまだ公開中の地域もありますので、詳しく書くのはやめときましょうね。

 

 

で、このヴィッキーさんですが、ジェームス・ブラウン氏の大のお気に入りシンガーだったのです。

 

 

アレサ・フランクリンの歌は素晴らしい。でも、ヴィッキーが最高。ヴィッキーほど歌が上手い女性は見たこと無い、とまで言わしめています。まさしく、ジェームス・ブラウン楽団のファンキー・ディーヴァ(歌姫)であったということでしょう。

 

 

ヴィッキー氏は多数シングルを出しているので、その歌声はけっこう簡単に聴くことができますよ。ジェームス・ブラウン氏の楽曲より聴きやすいものが多いのでは? と思います。なんちゅうかキレがあって、野太くはないんですが芯の強さみたいなのを感じる歌声です。

 

 

娘であるカーリーン・アンダーソンさんもソウルシンガーとして有名な方です。母親譲りの強烈な歌声を現代的な演奏に乗せた楽曲たちは非常に聴きやすいです。こちらもぜひ。ちなみにカーリーンさんはボビー氏との血縁ではありません。ボビー氏と付き合う前の、ヴィッキーさんの子ということでしょうね。

 

 

ソウルの名手、ボビー・バード

 

 

ジェームス・ブラウン氏の相棒として名高いボビー・バード氏も、ソロで活躍して数々の名曲を残しています。

 

 

ほんとカッコイイ曲ばかりなのですが、中でも特に有名なのは、I know you got soul(アイ・ノウ・ユー・ガット・ソウル)という曲ではないでしょうか。

 

 

非常に数多くのヒップホップミュージシャンたちにサンプリングされているので、若い方でも耳にしたことのある人は多いはず。

 

 

かの伝説的ヒップホップデュオのEric B & Rakim(エリック・ビー・アンド・ラキム)も、元の楽曲をまんまサンプリングしています。曲名もズバリ「I know you got soul」そのままです。ほかにPublic Enemy(パブリック・エナミー)なども好んでサンプリングしています。

 

 

歌が下手とか言われたりしてるのもよく目にしますが、これもジェームス・ブラウン氏同様に味があるってことでいいんじゃないかなあと思います。

 

 

なお、ボビー・バード氏は2007年、がんのために他界されています。

 

 

盟友ジェームス・ブラウン氏の逝去が2006年。まさしく、後を追うようにしてこの世から旅立っていったというふうに感じます。

 

 

お二人の眠りの安らかならんことを・・。

 

おまけ

 

マンガの最後のコマ、チューしているところをオレンジくんに見つかってしまったヴィッキーさんの表情は、実は「Mother Popcorn(マザー・ポップコーン)」というアルバムジャケットからのサンプリングです。これはアンソロジー・アルバムなのでオリジナル盤ではなくベスト盤ですね。ジャケはこちらで見られると思います

 

 

さらに、このマザー・ポップコーンのジャケ写真は、「Vicki anderson & James Brown / Let it be me(レット・イット・ビー・ミー)」という曲のジャケットで使われているジェームス・ブラウン氏とヴィッキーさんの2ショット写真を、ヴィッキーさんのほうだけトリミングして、さらに左右反転させたものだそうです。

 

 

左右反転・・・!? そんなバカな、オフィシャルのアイテムに左右反転された写真を使うなんて・・・? といった具合で驚かれる方もいるかもしれませんが、この頃って本当にアバウトだったんでしょうね。ジェームス・ブラウン氏の写真も反転して使われているとおぼしきものがあるのです。

 

 

なんかいい加減だけど、そのへんの雑さが知的好奇心をくすぐるんだよなあ。

 

 

おしまいです。

 

 

JAY

JAY

1984年生まれのファンク・マンガ・ライター。ソウルの帝王ジェイムズ・ブラウンを元にした「ファンキー社長」をはじめ、ファンク・ヒップホップをサンプリングした4コママンガを描き続けています。漫画アクションで「ファッキンJAYのマイルド・スタイル」を連載中。

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