ここではネタばれというかネタばらしとして、マンガの中で使っている元ネタについてちょっとお話しします。今回は第6話「ブーツィさんの秘密」についてです。
ジェームス・ブラウン氏のバンドメンバーで最も有名なのが、このBootsy Collins(ブーツィ・コリンズ)氏ではないでしょうか。
もっともブーツィ氏の名前が広く知られているのは、ジェームス・ブラウン氏のバンドにいたからではないかもしれません。
Pファンクのアイドルにも、地味だった過去が
ブーツィ氏と聞いて多くの方が想像されるのは、ド派手な衣装に身を包んだ彼の姿でしょう。星のかたちがあしらわれたサングラス、特注のベース、スパンコールのあしらわれた変態的なスーツ。
ジョージ・クリントン総帥ひきいるPファンク軍団(パーラメント/ファンカデリック)のベーシストとして活躍しソロとしてもアルバムをリリースするカリスマチックな存在だった彼ですが、そんな華やかな「Pファンクデビュー」を飾る前はジェームス・ブラウン氏のバンドにいました。
以前もチラと書いたので重複しますが、当時はオハイオ州シンシナティで兄のキャットフィッシュ・コリンズとペースセッターズというバンドを組んで活動していました。
しかしすでにペースセッターズというバンド名が存在していたことからペースメイカーズとした、という話を聞きました。
さらに2015年5月30日より公開された伝記映画「ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜」では、まったく別のバンド名が登場します。これもおそらく、権利とか許諾とかによる事情でしょうか?
とにかくブーツィ・コリンズ氏はJB氏には気に入られていたそうです。自家用ジェット機にも、よく乗せてもらっていました。
もちろん狭いジェット機の中では、氏のお説教を延々と聞かされるハメになるからでしょう、バンドメンバーたちはみんな飛行機を嫌がりバスを望んだのだという話です。
しかしブーツィがジェームス・ブラウン氏のバンドに在籍したのはわずかに1年。
その後のハメの外し方を見ると、もともとこういうシュミだったんだろなあ、JB氏の元では我慢してたんだなあ、と変な感慨のようなものが湧いてきます。
ブーツィ氏のベースは極めて特徴的で、他にない個性があります。お恥ずかしながら私は耳が貧弱なためかベースの音を感じ取ることがなかなかできないのですが、ことブーツィ氏に限ってはブリバリに感じることができます。
これはどうも、ブーツィ氏の奏法がかなり変わってたからだということだそうで。まあ、ふつうのベースよりも高い音域で弾くとか演奏のときの楽器の抱え方が違うとかいろんな話は聞きますが、私はそのへんのことはよくわかりません。
ただ、よく使う表現なんですがブーツィ氏のベースには「腹の底からうねりがノドの方までせり上がってくる」みたいな感じがあります。それは間違いない魅力ですね。
「ブーツィ」アダ名の由来
ブーツィ氏の本名はウィリアム・コリンズです。
ブーツィは、彼が子どもの頃に母ちゃんからつけられたアダ名なんだそうです。
ではブーツィとは何のことでしょう。これは、アメリカのマンガ家オリー・ハリントンという方が描かれていたマンガのキャラクター名なのだそうです。
オリー・ハリントンは人種差別反対と公民権運動に身を投じていた活動家の1人でした。
1935年ごろよりアムステルダム紙にて「Dark Laughter」というマンガというかイラスト(風刺漫画だと思います。日本の新聞でも1コマで描かれた風刺漫画を目にすることがあると思いますが、ちょうどああいう感じのものですかね?)を連載していて、その登場人物の名前がブーツィだったのです。そのキャラの綴りは「BOOTSIE」ですが。
アムステルダム紙と聞くとオランダの話かよと思われるかもしれませんが、れっきとしたアメリカの新聞です。このへんの話も始めると長くなるため、また今度にしましょう。
おまけ〜公式のLINEスタンプまである〜
特に宣伝というわけでもないのですが、ブーツィの公式LINEスタンプまであります。
そのほとんどはPファンク時代の、みなさんがイメージされるブーツィのスタンプなのですが、1個だけ! 1個だけ、the JB’s時代のものと思われる若かりし頃のブーツィ氏を描いたスタンプがあります。
なお、私は身近にブーツィのことを知っている人があまり多くないので、買ったはいいもののほとんど使っていません。
今回も読んでいただきありがとうございます。