ファンキー社長

ソウルの帝王ジェームス・ブラウンをサンプリングしたマンガ「ファンキー社長」のホームページです。初めての方は1話から読んでみてください。

アメリカ南部(ジョージア州)旅行記【4】アル・グリーン牧師の礼拝へ

      2017/10/01

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こんにちは、JAYです。ソウルの帝王ジェームス・ブラウンをサンプリングしたマンガ「ファンキー社長」を描いています。

 

アメリカ南部の旅日記、第4回です。

第1回はこちら ・ 第2回はこちら ・ 第3回はこちら

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メンフィス最終日はさわやかな朝日とともに

 

9月20日(日)、晴天。気温はやや低めで肌寒さを感じます。朝の8時半にタクシーのアル・ムハマドがホテルに迎えに来てくれました。

「今日の予定は?」

「まずはアル・グリーンの教会。そのあとはソウル・フードのレストランで昼食を。そしてスタックス博物館だね」

 

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やることが多く、濃厚な1日になりそうです。

タクシーはダウンタウンを離れ、郊外の道をひた走る。10分ほど南へ進むと、周囲は木々が豊かに生い茂る閑静な住宅街に入ります。さすがにアメリカ、潤沢な土地をふんだんに活用した平家と庭で、一軒一軒の敷地がだだ広い。

そんな宅地の中にひっそりと佇んでいたのが、アル・グリーン牧師の「FULL GOSPEL TABERNACLE CHURCH」です。

アル・グリーンの教会

アル・グリーンの教会

 

私が到着したのは9時。教会には鍵がかかってて、車も一台も停まっていません。

「まあしばらく待ってりゃ誰か来るだろう。じゃあ礼拝終わったら電話してくれ。たぶん13時ごろには終わるだろう」

アルはそう言って去りました。彼はムスリムなので、ここでの礼拝のことは何もしらないようです。

周囲は静かで、彼の車のエンジン音が次第に遠ざかって消えて行くと、鳥のさえずりだけが響いていました。

その穏やかな静けさが逆に不安を掻き立てます。

なにしろ何度も敗北を喫したこの旅。よもや開かないなんてことは…と怯えながら、とりあえず待つことにします。

暇なので周辺を散歩。

アル・グリーンの教会

たまにリスがいました。

 

Around Al Green's Church

何もない。住宅と、樹のみです。

 

Around Al Green's Church

 

GoogleMAPをみても、何もない現実だけが表示されます。

 

アル・グリーン教会の周辺地図

星印がアル・グリーンの教会。周辺には、何もありません。

 

困ったことに、尿意をもよおしてきました。

トイレを求めGoogleMAPで公園(Lanier park)と記された場所へ向かうと、ただの空き地でした。自分の背丈ほどの茂みに身を隠し、ひっそりと用を足します。実はうんこもしたかったのですが、さすがに野グソは悪いかなと思って我慢しました。

 

教会に戻ると車が一台、女性が乗っていました。

「アル・グリーン牧師の説教を聴きに日本から来た。何時ごろ開くかわかる?」

「11時ね。そのへんで待ってなさい。」

女性のリアクションの薄さから、日本からの観光客は珍しくないんだなと思います。

 

10時半。牧師の一人(アル・グリーンではない)が到着したらしく、教会の鍵を開けて「入っていいよ」と招いてくれました。たちまちトイレへ駆け込みうんこをしました。

 

いよいよ始まった、日曜教室と礼拝

 

安堵と開放感で満たされた私は大聖堂へ。すでに何人かの礼拝者がいて、先ほどの牧師が聖書の教えを説いています。

牧師が参加者に呼びかけ、聖書を音読するよう促し、参加者は該当箇所を読み上げる。

「この場面ではどのような行動を取るとよいか?」

らしきことを牧師が問い、

「〜〜〜だと思います」

参加者が答えます。

 

「イグザクトリー(そのとおり)!!」

 

指をパチンと鳴らし、つまり聖書が言わんとしてるのはそういうことだ、と解説します(たぶん)。

聞いているうちに時計は11時になり、ステージ裏からバンドやコーラスがゆっくりと現れました。ステージには四脚の椅子が横一列に間を空けて並べられてて、なにやら「四天王の間」と言えばしっくり来るような雰囲気をかもしだしていました。

椅子にはその教会の偉い人たちが座るのでしょう。一番左の椅子には「Bishop Al Green」とゴシック書体で縫い込まれたマントのような布が掛けてあります。

おお、ブチ上がりますね。ここには紛れもなく、アル・グリーン師がおわすのだ。

 

次第に人が集まり、総勢150名ほどになった。その半分以上が白人で、首からツアーのストラップを下げている者が多くいて驚きました。観光名所だったんですね。

al green 教会

 

バンドの演奏が始まりました。

3、4人ほどが入れ替わりマイクの前に立ち、一曲ずつ熱唱する。ツアー客による飛び入り参加もあるようで、金髪リーゼント・Gパン・Gジャンの男がギターを片手にカントリーを披露するなど、自由な感じでした。

 

ひと通りの歌が終わり一息ついたところ、ステージの奥から、ゆっくりと歩いてくる男がありました。

静かな歓声。私も立ち上がり、拍手。

アル・グリーンの登場です。私が知っている姿よりも丸っと太っていたが、まさしくアル・グリーンその人でした。

 

「みなさん、どこから来ました!?」

「ブラジル!」「キャリフォルニア!」「キャナダ!」「オーストラリア!」参加者は次々と答えます。

私が「ジャパン」と言おうとしたところに、斜め後ろから「ジャパン」の声。おお、日本人もいたんですね。

グリーン師はしばらく喋りますが、よく聞き取れません。そして演奏が始まりました。

聴衆のうち何名か立ち上がり、手拍子を叩きます。アル・グリーンのゴスペルライブ!

変わらない歌声! マイクを使わずに肉声でもシャウトを聴かせてくれます。そしてあの、撫でるような優しいファルセット。おお〜!

演奏は4曲ほどで、意外にあっという間に終わりました。黒人教会にイメージされる、トランス状態になった参加者が踊りまくるといったようなことはなく、みんな落ち着いて音楽に乗っていました。

演奏後はグリーン師の、長いお説教タイムの始まりです。

 

al green

al green

 

前座の牧師が指をパチンと鳴らすなら、グリーン師は話の区切りで「エイメン!」と叫びます。

ユーモアたっぷりに教えを説き、聴衆からはたびたび大きな笑い声が上がっていました。もちろん私には、何を言っているものかは皆目見当がつきません。

正直に言いますが、さすがに退屈でした。この説教は2時間ほど、13時半まで続きます。

説教の最中でしたが、そろそろタクシーのアルを呼ぼう、となって席を立ちました。

外にツアーバスのドライバーがいたので電話を貸してくれと声をかけると、かなり嫌そうに「おまえ自分のあるだろ」と言うので「ノー、これ日本でしか使えないの。貸して!」と説得。しぶしぶ貸してくれました。

電話を終えると、聖堂からけたたましい演奏の音が! しまった、まだ歌があったかと急いで戻ったところ礼拝はクライマックスを迎え、まるでライブのアンコールのように目一杯の音をかき鳴らしていました。

その目一杯の音の中を、グリーン師はゆっくりと、ステージの奥へ消えていきました。

 

おお…終わったか…しかしほとんどお説教だったなあ…

 

すぐさまグリーン師を探して教会の中を歩いてみたけど、残念ながら見つけることは叶いませんでした。

 

Al Green's Poster

代わりに見つけた、教会内のポスター。

なお、礼拝中はやめとこうという思いが働き、写真は残っていません。

 

お昼は伝統あるレストランでソウル・フードを

 

次は待望、ソウル・フードのレストランでのランチです。

道中、ドライバーのアルに聞いてみました。

「アル、昼飯はまだ?よかったら一緒にどう。」

「いや、おれは毎日1食しか食べないんだよ」

「そっかあ〜」

「それにおれムスリムだから、ハラールしか食べないしね」

「そ、そうだよね」

「大体ソウルフードなんて健康に悪くて食ってらんねえぞ」

「ふ、ふ〜ん…」

 

向かったのは「Four Way Soul Food Restaurant」

ソウル・フード

なんと1960年代にできて60年近い歴史を持つという、老舗のレストランです。

頼んだのは、キャットフィッシュ(ナマズ)のサンドイッチ、フライド・イエロー・トマト、ブラック・アイド・ピー。

 

ソウル・フード、キャットフィッシュフライ

ナマズのサンドイッチ。淡白ですが、生臭さもなく美味しい。少しもっちりしたような食感でした。

 

フライド・イエロー・トマト

次はフライド・イエロー・トマト。大変アブラっこい。

 

ブラックアイドピー

ブラック・アイド・ピー(黒目豆の煮込み)。黒目豆は縁起がいいらしく、新年などにも食べるそうです。

このほか、サザン・ナントカ・ティーというお茶を注文しましたが、これが吐くほどマズかったです。砂糖を大量に入れた紅茶のようなものですが、甘さが尋常じゃありませんでした。

 

ここの店員さんは、私が「ジェイムズ・ブラウンの生きた土地に触れたくて南部に来た」という話に一番感動を示してくれた人でした。

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ファンは必見・スタックス博物館は、往年のミュージシャンたちのお宝がザクザク!

 

最後はスタックス博物館。タクシーのアルには「なんとかして、また電話するから」と伝えて別れました。

あのオーティス・レディングを輩出しトップレーベルの座に躍り出たものの、オーティスが飛行機事故によって亡くなってしまったのを機に次第に衰退の途を辿るというスタックス。

 

ソウルの名門STAX

 

博物館内にはオーティス・レディングはもちろん、ブッカーT、バーケイズ、サムアンドデイヴなど、数々のアーティストのレコード原盤(JBのものも!)や衣装が展示されていました。

ブッカーTが「グリーンオニオン」録音時に使ったというハモンドも。

最も派手な逸品は、アイザック・ヘイズのキャデラック・エルドラド。回転テーブルの上に展示され、グルグル回り続ける黄金のキャデラックは、彼の全盛期を物語っているかのようで、成金趣味とはいえ滋味深いです。

 

閉館時間が迫り、一時間ちょっとの駆け足で見終えると、アルが待っていてくれた。

 

タクシーのアルとの別れ。そして、オーガスタへ

 

オーガスタに行くためグレイハウンド・バスステーションへ。ここで1日半世話になったアルとはお別れ。最後に+5ドルせびられたけど、世話になったから素直に渡しました。

 

さらばメンフィス

 

オリジナル・ジェイムズ・ブラウン・バンドのギター、キース・ジェンキンスに会うために、オーガスタへ。

キースからは「日曜の遅くにオーガスタに戻る。それ以降なら会えるかも」というメールが届いており、私は月曜の昼間にオーガスタに着く予定だったので、会えたらいいなと期待や不安を感じつつバスに搭乗します。

メンフィスを20時に出て、オーガスタに着くのは翌日10時。東京〜福岡間よりもちょいと長いくらいの距離です。むろん風呂や歯磨きは諦めています。

 

次回、旅の最終日、オーガスタの街でキースに会えるんでしょうか…。こちらからどうぞ

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