こんにちは、JAYです。ソウルの帝王ジェームス・ブラウンをサンプリングしたマンガ「ファンキー社長」を描いています。
2015.05.06
第1話「ファンキー社長の就業規則」
第2話はこちら! 第1話の元ネタ解説はこちら! 小ネタの宝庫「ファンキー社長の編集室」はこちら! ...
ロバート・グラスパーのJディラ・トリビュートライブ@ブルーノートNYC
ロイ・ハーグローヴ・トリビュートライブの2日後、Jディラ・トリビュートを観に再びブルーノートへ。
前編の記事はこちら
次は22:30開演の2ndで予約してみました。
到着したのは21:30だったのですが、会場の外には50mを超える長蛇の列。ひえ〜と思いながら列に加わりますが、それから待てども待てども全然入れず…いつの間にか列は100mくらい延びていました。
店内に通されたのは22:30過ぎ。ロイ・ハーグローヴの日と比べて人の入りがすごい。いや、ロイの日も満席だったんですが、それより多い感じです。
今回はテーブル席を予約したのですが、6人席にギュウギュウに詰め込まれております。小さなテーブルにイスを密着させて詰めるスタイルは、体が大きな人が多いアメリカではあんまり見ません。店員が通るのも苦しいほどに人を詰めこんでおり、快適度は低いですね。
店内に入ってからしばらく経ち、23:20くらいにグラスパーが1人でステージに現れると、途端、「ニューヨーク調子はどうだ〜!さわげ〜!」と言ってアゲてくるので、前回のロイのときとのギャップに驚きました。そのまま彼はスタンダップコメディさながらにジョークを飛ばし、観客をイジり倒します。ほとんど聞き取れなかった上にうろ覚えですが、お客さんの家族のことなどを聞いては「子どもは6人兄弟!?バスケのチーム組めるやん!」みたいな感じでイジっていました。
完全に会場を温めてバンドメンバーが登場。今回、ドラムがクリス・デイヴなのと、スラム・ヴィレッジのT3が登場したので、お客さんも最初からハイテンションのまま、最初の曲が「F**k The Police」です。これは痺れました。観客に「1,2,3」で「F**k The Police!」の大合唱だったのですが、観客は全員着座しているので妙な雰囲気でした。
続いて「Climax」でしょうか。原曲とアレンジ違いすぎて、最後にT3が「Dreams Come True」を連発していたので、たぶん…。
続いてジェイムズ・ブラウンのTurnit Looseのベースラインに似た曲。ここでクリス・デイヴが激しく叩きます。クリス・デイヴって僕はたぶん初めて見るんですが、ハイハットはグニャッと歪んでいて、リンゴの皮を向いたような(伝わりますかね?)スパイラルトラッシュというシンバルを使い、スネアもスネアっぽくない硬質で残響のない音で、バズドラ以外はふだん聴くドラムの音と全然違って独特すぎました。
途中、ホームであるデトロイトへの賛辞だと思いますが、T3が「Motown Go Down」みたいなこと言ってましたね。
クリス・デイヴによる圧倒的なソロから一気に「Raise It Up」に転換したところが個人的に最悶絶ポイントでした。クソかっこよかった。
ここで面白かったのが、ドラムやピアノなどバンドの演奏しているパターンがコロコロ変わるんですよね。まるでサンプラーやドラムマシンを叩いているかのようで、リズムに合わせていろんなネタが流れる様子を演奏で再現している、みたいな。技術と遊び心が同居しているのを見ると悶ますよね。
そして「The Look Of Love」ですね。みんな合唱です。グラスパーのピアノが非常に美しくて、うっとりしましたね。
するとここで、客席から1人の男が上がってきました。
そしておもむろに「サプラーーーイズ!」と叫んで、そのまま歌い始めます。
声を聴いたら、ビラル!ビラルの声!
僕の記憶の中のビラルはヒゲがしっかり生え揃っていたのですが、目の前にいるシンガーの口周りはツルツル。確信がもてず、隣の女性に聞いてみたところ「イエス。ヒズ・ネーム・イズ・ビラル」と教えてくれたので、興奮しました。ヒゲ剃ったんですね。
そのまま「フリースタイルで歌うよ」と言い、演奏に合わせてT3はラップを、ビラルは歌を、それぞれ即興で織りなしていきます。
ビラルって、昔はディアンジェロ的というか、BJ・ザ・シカゴキッドとも系統的に似てるような感じだと思っていたんですが、
なんていうか最近はもう少しエッジの立ったメロディというか、たとえばこれをカラオケで歌おうと思ったらめちゃくちゃ難しいだろうな、ていうメロディで歌うんですよね。ニュアンスも複雑で、細かいところにすごい豊かな表情が落とし込まれていたり。
EW&Fのフィリップ・ベイリーも彼と共作したときに彼の声を「楽器のような歌声」と言ってて、実際にビラルの歌声はそう形容されることが多いんですが、それを見せつけられましたね。
メロディの美しさだけじゃなくて、声を鳴らしているときと黙るときの間の取り方とか、ファルセットと枯れ声の使い分けるポイントとか、このへんが彼にしかできない、彼そのものとしか言いようがなくて。かっこよかったです。
ビラルがステージを降りると、次は超定番「Tainted」、そしてラストにハモンドオルガンの音色が美しい曲(タイトルわからなかった)を演奏して、おしまい。
グラスパーは終始、お客さんを笑わせにきていて、ロイ・ハーグローヴのときとの雰囲気の違いに驚きました。そして、こんだけブチ上がってもやはりブルーノートだし、狭いので、テーブル席で立って楽しむという人は皆無でした。
終わったのは深夜1:00。ニューヨークは24時間地下鉄が走っているので、遅くなってもまあ帰れることは帰れる、というのがいいところですね。