ここではネタばれというかネタばらしとして、マンガの中で使っている元ネタについてちょっとお話しします。今回は第5話のオマケ「ファンキー社長の水分補給」についてです。
ビールで水分補給!
ジェームス・ブラウン氏のショウを語るには、歌唱だけでなく凄まじいスピードで繰り出されるダンスも欠かせません。
当然、激しく汗をかき、渇いた体は水分を欲したことでしょう。
それをジェームス・ブラウン氏は、ビールで潤していたのだと言います。
よく知られた話ですが、ビールをはじめアルコール類には利尿作用があります。シラフにおいて、腎臓には排尿量をコントロールするためのホルモンが働いているそうです。しかし、アルコールを摂取することによってそのはたらきが抑制され、排尿量をコントロールできなくなり、脱水症状を引き起こすのです。
その頃の氏は年間330公演をこなすこともあったそう。あまりに強引なペースでの公演のため限界にきていた肉体に、ほぼビールでしか補われなかった水分・・・。
ジェームス・ブラウン氏が脱水症状による全身の痙攣でステージ上で倒れたまま動けなくなってしまったのは、なんとあの「アポロ・シアター」での公演の最中だったと言います。いわく「プリーズ・プリーズ・プリーズ」を熱唱しながらクライマックスを迎える中でのマント・ショウで、いつものように膝をガクッと落としたところ、全身が攣ってしまいそのままステージに倒れてしまったのだとか。
塩分低下症候群によるものだったということで、それ以降は塩分やら水分やらを2〜3時間もかけて点滴していたのだそう。
結果にコミットする。たった2ヶ月で、マイナス●キロ!!
ショウのたびに失っていたのは水分だけではありませんでした。
なんとジェームス・ブラウン氏、一回のショウで3〜4キロも体重が落ちていたのだそうです。1キロは7000kcalくらい。実に21000〜28000kcalを燃焼させていたということです。
年間330公演もやってれば、たとえば2ヶ月くらい休みなしで公演が続くということもあったのではないでしょうか。
つまり単純に計算して、1回の公演で平均3.5キロ落ちたとして2ヶ月連続で公演したと仮定すると、2ヶ月後の減量幅は3.5×60=210kg・・・!!
なんという結果へのコミット。ライザップよりもゲラップ、と言えるでしょう。
おまけ〜ゲータレードとジェームス・ブラウン〜
これは私が自伝を読んでて爆笑してしまったところなのですが、ジェームス・ブラウン氏は点滴によって水分補給を行うようになったこと以外に、下記の一言を述べています。
「現在ではゲータレードを飲んでいる」
この一文をなぜ加えたのかがよく分からず、当時はシュールに感じて爆笑してしまいました。ぜひ自伝で読んでいただきたいほどです。
しかしまあわざわざ書いてあるくらいですから、何かあるのかも・・・と思って少し調べてみました。
ゲータレードは1965年にアメリカのストークリー・ヴァンキャンプ社によって販売されるようになったそうです。
1965年!
同年比較でよくわかる! ジェームス・ブラウンの楽曲はココが違うでも取り上げた年ですね。ファンクとゲータレードは同い年なんですね。
まあでもたぶん、ジェームス・ブラウン氏がゲータレードを飲んでいたこととは関係ないでしょうね。
また、wikipediaによると、エルヴィス・プレスリーが乾燥した地域で愛飲していたとか。当時のアメリカではスポーツ興行のスポンサーとしても成功していたようで、非常にメジャーな飲み物だったんですね。おそらく、単に一番有名だからとか、そういう理由で氏も愛飲していたのでしょう。
現在ではスポーツドリンク市場は競争が激化し、ゲータレードは(日本でもそうですが)けっこう苦戦を強いられ、だいぶシェアを奪われてしまったようです。
確か、飲み口が大きくてガブ飲みできたので、高校生のころ好んでよく飲んでたような記憶があります。
おしまい。