レディースエンジェントルメン、JAYです。
ソウルの帝王ジェームス・ブラウンをサンプリングしたマンガ「ファンキー社長」を描いています。
2017.11.05
ファンキー社長まとめ読み【1話〜10話】
第1話「ファンキー社長の就業規則」 第2話「ファンキー社長の社歌斉唱」 第3話「ファンキー社長の...
ジェームス・ブラウン氏とは直接関係しないのですが、去る2015年11月10日、Larry Graham(ラリー・グラハム)の来日公演を観に行ってきました。
ラリー・グラハムというと、あの有名なファンクバンド「Sly and the Family Stone(スライ・アンド・ザ・ファミリーストーン)」のベーシストとして、全く新しいベースの世界を開拓した生ける伝説といって間違いのない人物です。
もう、興奮しすぎて鼓動が限界BPMを超えて自然発火し自己焼身してしまいそうになりましたので、ぜひとも皆さまも共に発火していただきたいと思い、記録をしたためました。
ラリー・グラハム超・現役!衰え知らずのグルーヴに熱狂する会場(そして私)
年齢69歳、けっこうな長身で上下真っ白なスーツに身を包んだラリーは、スラッとしたシルエットが印象的。
老体を思わせない激しいベース・プレイ! バンドメンバーたちと息ぴったりのダンスステップ! 非常に丁寧に組み上げられたショウの構成! 曲と曲の間のMCでも愉快な掛け合いがテンポよく繰り広げられ、飽きさせません。
演奏中に、一切の楽器演奏を止め、静寂がほんの一瞬だけ会場を包みます。
ハアと息を吐くその束の間、張り巡らされた静寂の膜を突き破るごとく炸裂するベースの弾丸!
力強く指でスラップされた弦は遠目にもハッキリと振動し、スピーカーからはベースとは思えないような圧倒的な音量と音圧が私たちの鼓膜と内臓を責め立てます。
その衝撃を例えるなら、そう・・・
ヤンキーやスケバンの方々が使う脅し文句の中に「おんどりゃあケツの穴に手ェ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろか」という有名なパンチラインがあります。
ラリーのベースはまさしくケツの穴に手ェ突っ込まれて奥歯をガタガタ言わされている状況に酷似している(その状況を経験したことはありませんが)、いや、より正確に言うならばケツの穴に何やら極太のシリンダーのようなものを突っ込まれてそのシリンダーが超高回転しながら銃の発砲時のような激しいピストン運動を繰り返していたといいますか。
書いてて私は変態かなと自問してしまいましたけれども、まあそんな感覚に陥ってしまうほどに身体中を攻め立てる鋼鉄の重低音ファンクでした。
そんなライブのハイライトは、序盤に訪れます。
スキンヘッドの女性シンガー(ラリー・グラハムの娘さんでしょうか?)が最前列のお客さんと目線の高さを合わせようとしゃがみ込んだそのときに、事件は起こりました!
パンツが、見えてしまったのです。
なんだかいけない気分になってしまいましたが、それも間もなく鳴り止まぬ音楽への興奮に紛れてゆきました。そして、とどまることを知らない快楽に身をやつしていた私がさらなる悶絶を余儀なくされたのは、中盤のこと。
会場がタイム・スリップ。ファンク全盛のあの時代へ
「1969年に戻ろう…準備はいいかい」
メンバーや観客たちに、ラリーがそう語りかけたのです。
すると突如、会場に69年へと続く時空の大渦が出現したのです。
いや、別に渦が目に見えたわけじゃないのです。映像的な演出があったわけでもありません。しかし、間違いなく感じました。その会場にいた誰もが、そこで1969年へのタイム・スリップを体験したはずです。
歪曲した音の響きとともに、その渦に吸い込まれていくラリーたち。そして我々も過ぎ去った50年前に引き戻され・・・
大渦を抜けるとモヤのかかった空間、ステージには先ほどまで我々と同じく時空の渦に飲まれたラリーたちが毅然として立っています。そして渦潮のディストーションの向こう側から聴こえてきたのは、あの懐かしいワウ・ギターのフレーズ…
スライ・アンド・ザ・ファミリーストーンの1971年の名曲、「Family Affair(ファミリー・アフェア)」ではありませんか。
イントロはレコーディングの2小節ではなく4小節くらいでしたでしょうか・・・身体中の毛が逆立つような、快楽の寒気が下半身から頭頂部に向けて走り抜けます。
私は無意識に体を両手で強く押さえつけ、視界は恍惚感で白く薄らぎ、私の目線は虚空へと消えてゆきます。
そこからのことはあまり覚えてませんが、スライの名曲とグラハム・セントラル・ステーションの名曲を次々と演奏してくれたのだと思います。
痙攣が止まらず、危うく前方に崩れ落ちてしまうかと思うほどのトランスぶりでした。
後はラリーたちの手招きを受けステージに上がり、スライアンドザファミリーストーンの曲(忘れました…エヴリディ・ピープル? ハイアー?)をいっしょに歌ったのです。
私はラリーのベースのヘッドを目前にして歌い踊っていました。すぐそこで、レジェンドのリズムを感じていたのです。
無我夢中でした。声は最大限に張り上げ、身体は狭いステージで許される限りに振り、ただただ悶絶と痙攣、ベースの振動で脳震とう。
もはや、正気を保つことが精一杯といえるほどの興奮状態だったのです・・・69年に戻ろうと言ったのに71年の曲を演奏したことなんて、どうでもよかったほどでした。
やはり、ファンク。
ライブが終わると、ソウルを使い果たした私はその場に立ち尽くすしかありませんでした。
そうなんですね。現役のファンクは、ここまで素晴らしいんですね。
こんな話をしても仕方ないのですが、もし、もしジェームス・ブラウン氏の全盛期のライブを観ることができたならば・・・
一体、この身体はどうなってしまうのだろう、だなんて・・・
そんな、どうにもならないことを想像してしまうのでありました。
おしまい!