「Mr.dynamite」試写会に行ってきました。メンバー達の知られざる本音や鬼上司ぶりを発揮したエピソードの数々、そして当時の歴史もしっかりと押さえた素晴らしいドキュメンタリーでした!6/18〜渋谷アップリンクほか全国で順次公開! pic.twitter.com/7qkoNoFYJR
— f__kin_JAY (@f__kinJay) 2016年5月19日
2015年の「ジェームス・ブラウン〜最高の魂を持つ男〜」に続きまして、JB没後10周年となる2016年に、再びミック・ジャガーのプロデュースのもとジェームス・ブラウン氏のドキュメンタリー映画「ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン」が日本で公開される運びとなりました。
すでに「ジェームス・ブラウン~最高の魂を持つ男~」をご覧になった方にはご存知かと思われるジェームス・ブラウン氏のあまりに破天荒な人柄とその人生の足跡を、数々の秘蔵音源・秘蔵映像をはじめ、バンドメンバーや彼を愛し憧れたレジェンドたちのインタビューによって構成された濃厚なドキュメンタリーです。
監督はアレックス・ギブニー。ジャーナリスト視点での作品多数。「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか」「ファインディング・フェラ」など(どちらも観たい!)。最近では「スティーブ・ジョブズ」の監督もされていたようです。
「ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン」出演者たち
主なインタビュー出演者は以下のとおり。簡単な紹介を添えていますので、映画を見る前に軽くおさらいしておくとより楽しめると思います。
公民権運動をはじめラジオやテレビで黒人の地位向上に尽くしている活動家のアル・シャープトン。マイケル・ジャクソンの逝去時に弔辞を読まれた方で、JBのマネージャーを務めていました。なんと民主党から大統領候補として出馬した経験もあります。
元バンドメンバーであるメイシオ・パーカー、メルヴィン・パーカー兄弟。メイシオはJBのお葬式に参加していないらしく、伝記映画も観ていないと聞いていたので、今回の出演は「へえ〜〜。なるほど…」という、ちょっとした驚きと納得を感じさせるものでした。
ファンク全盛期のJBサウンドを支えたフレッド・ウェズリー。かなりかわいい服装でインタビューに応じていて、話もかなり面白くて笑いました。しっかりと学校で音楽を学んだ身で、もともとはジャズ畑の人ですから、JBサウンドにはいろいろと思うところがあったのでしょうね。
ネタばれはしないのですが、フレッドのインタビューは言うならばこんな感じでした。
JBファンクの発明者といっても過言ではないかも…アルフレッド・ピーウィー・エリス。お歳のせいもあって話し声が聞き取りづらいため、英語字幕が出ていました。2016年2月に来日した際に声かけてみましたが、確かにほんと聞きづらい印象でした。
(「ジェームス・ブラウン・バンドの生ける伝説、ピーウィー・エリスのライブに行ってきました」より)
ファンクのはじまりと評される「Cold Sweat」のドラムを生み出したクライド・スタブルフィールドと、「Sex Machine」などのファンククラシックで叩いたジョン・ジャボ・スタークス。インタビューでは両者の演奏の違いについても触れられています。個人的にはこの2人の話が一番おもしろかったです。
セックス・マシーンでの掛け合いが有名な盟友ボビー・バード。すでに他界されているため生前のインタビュー映像ですね。表情が険しいのですが、温厚で人情家だといわれる性格がにじみ出ています。
マーサ・ハイ。2014年末から3度の来日を果たし、現在アルバム制作中のJBバンド古株シンガー。JB加入前はジュエルズというコーラスグループで活動していました。
(「JB楽団の歌姫マーサ・ハイ来日!日本でのアルバムリリースも」より)
マント・ショーとMCで見せる伊達男ダニー・レイ。最近はあまり体調が良くないそうで心配ですが、インタビューではやはりイケメンと思わされました。
JBバンドに参加したほんのちょっとの間に伝説的な功績を残したブーツィ・コリンズ。後のPファンクでのハジけぶりは、ファンク好きでなくてもご存知の方も多いはず。
JBサウンドのカッコよさをサンプリングで再び現代に呼び起こしたパブリック・エネミーのフロントマン、チャック・D。2014年来日時もメンバーであるDJリードが「ジェームス・ブラウンを聴け」Tシャツを着ていたように、未だそのサウンドに魅せられ続けていることが分かります。
そして不動のNo.1ヒップホップ・バンド、ザ・ルーツのドラマーであるクエストラブ。JBの教えであるビートの理論を体現しており、73年〜の抑圧的なファンクの熱を宿したヒップホップを生み出している人たちだと私は思っています。
音楽だけでなく、人間性や当時のアメリカの状況にも深く踏み込む
インタビューでは「ザ・ワン」をはじめとするJB音楽に欠かせない要素への言及はもちろんのこと、人間性についても触れられています。メンバーたちの視点もさまざまで本当に面白く、考えさせられることも多いので是非ご覧になってほしいところ。
さらにそうした音楽性・人間性と絡めて当時のアメリカに対してジェームス・ブラウン氏がどう関わっていたのかも、実際の映像とともに生々しく語られます。
非暴力学生委員会、そしてブラックパンサー党のストークリー・カーマイケル、「恐怖に抗う行進」のジェームス・メレディスなども登場。このへんはキング牧師やマルコムXに比べて日本での知名度は高くないが、公民権運動において重要な人物です。メレディスの「恐怖に抗う行進」の最終地点でジェームス・ブラウン氏が演奏をしたということは知りませんでした。その映像も収められています。
ジェームス・ブラウン氏は確かに黒人の代表者の一人として強い影響力を持っていたのですが、いくつかの記事を読んでいくうちに、「ブラック・パワー」を叫び、その権利を求める活動家として語られているイメージとはやや異なった実像が浮き上がっていました。
本作品を観たことで、そのぼんやりとしたイメージが確たるものになったなあ〜と思うところでした。
2016年6月18日(土)渋谷アップリンクほか全国順次公開
上映時間は115分、字幕監修にはオーサカ=モノレールの中田亮氏。6月18日(土)より渋谷アップリンクほか全国で順次公開されます。公開予定劇場はこちらの公式ホームページから確認できます。
グッゴー!