こんにちは、JAY(@f__kinjay)です。
ソウルの帝王ジェームス・ブラウンをサンプリングしたマンガ「ファンキー社長」を描いています。
2015年以来2年ぶりの来日となった、ジェイムズブラウンバンドのベテランシンガー、Martha High(マーサ・ハイ)さんの来日公演withオーサカ=モノレールに行ってきました。
(2年前の来日ライブの回想はこちら)
マーサさんはジェイムズ・ブラウンの楽団で実に30年以上、主にバックコーラスとして歌っていました。あのハードな環境で長年やっていたとは思えない(あるいは、やっていたからこそ)ような、謙虚で温かくて素敵な方です。ジェイムズ・ブラウンのドキュメンタリー映画「ミスター・ダイナマイト」でもインタビュー映像があります。ジェイムズ・ブラウンの喋り方を真似しているのですが、かなり特徴を掴んでいてウケます。そんなユーモアもある人なのです。
ライブ会場は、テーブルと椅子のあった前回とうってかわって、代官山UNITでのスタンディングでした。私が到着したころにはフロアは満員! 残念ながらオープニングアクトのブギー・トレイン、黒田さんのDJには間に合わず…聴きたかった。
オーサカ=モノレールの前奏から元気に登場Martha High
ライブはオーサカ=モノレールによる演奏から始まります。1曲め「Riptide」、いいところでホーンがバッと鳴るアレンジがカッコ良かったです。
3曲の演奏ののち、マーサさんが現れました。
マーサさんはけっこう頻繁に髪型が変わるのですが、今回は坊主です! 似合ってる。
マイクまでゆっくりと歩を進め、最初の発声。
観客のみなさん、まずはその声の「圧」に打ち震えたのではないでしょうか。
もはや年齢の話をするのは無意味ですね。若手の衝動にも引けを取らない、かといってベテランの貫禄というにはあまりにもアグレッシブな、力強いソウルが宿った歌声を聴かせてくれました。
「喉痛かったけど大丈夫だわ」
自身の曲「Showdown」から始まり、「ゲラッ!!」ていうところもパワフルで完璧な発声で気持ちよかったです。
演奏されたのは、ジェイムズブラウン楽団のディーバたちの曲が中心でした。詳細なセットリストは、ソウル評論家の吉岡正晴さんがまとめてくれています。
Big paybackのアウトロでコール&レスポンス
「Paybackって曲があるでしょう。で、Big Paybackって曲もあるわね。その違いは…」
といって、歌う前に曲名の違いの理由を説明してくれました。けど、英語が聞き取れずわかりませんでした! 誰か教えてください。誰がコーラスやってたかによって違うとか、そういう話だったのか?
で「Big payback」がマーサのバージョンなんだそうです。
アウトロに入ると、マーサが観客を煽り立てます。コール&レスポンスです。
Ring My Bell VS Ding Dong Man
マーサさんはリン・コリンズやマーヴァ・ホイットニーなどと比べてソロ作品が少なかったのですが、初めてのソロアルバム「Martha High」を1979年にサルソウルからリリースしています。このアルバムの収録曲の中から、ジェイムズブラウンのプロデュースによる「He’s My Ding Dong Man」を歌ってくれました。歌いながら、こんな説明を始めるマーサさん。
「Ring My Bellって曲はわかる? この曲は…あれと同じなのよ」
「Ring My Bell」はAnita Wardの1979年作ディスコクラシックですね。
この2曲はサビのコード進行が同じでとても似ているのです。想像するに、ジェイムズブラウンが「Ring My Bellみたいなのが売れてるんだな!よっしゃ似たようなの作るぞ」て感じで作ったんでしょうか。
そしてマーサさんは、観客たちに合唱を促します。
「Ring My Bellは女の子!Ding Dong Manは男の子!さあ、歌って!」
交代ごうたいで、男女に分かれて合唱対決です。声が小さいと、マーサ先生による「聴こえないわよ!」という檄が飛んできます。
お客さん、前も後ろも声を出して歌っていました。
何巡かサビを往復したところで「Ladies won!!」というマーサさんの審判が下り、男性の私は敗けてしまいました。
新アルバム「TRIBUTE TO MY SOUL SISTERS」
72歳と思えない声量、音程、リズム感、揺れる体が常に裏でビートを取ってる感じでカッコよかったです。
そんなマーサさん、ニューアルバム「TRIBUTE TO MY SOUL SISTERS」が2017年11月18日に発売されました。
このアルバムリリースの実現には、万感の思いがあります…というのも、2年前の2015年11月に来日したときに、このアルバムの制作が発表されていたからです。実に、2年ごしのプロジェクトだったわけです。
そのとき、マーサさんは「好きな日本でアルバムの話が出て幸せなこと」と言って、泣いてたんですよね…。実現して本当に嬉しい! ライブ会場で先行発売された同アルバムの輸入盤、アナログで購入しました。先に述べたとおりマーサさんはソロ作品が少なかったのですが、2000年以降になってあちこちから声がかかり数枚のアルバムをリリースしていて「今がまさにキャリアの全盛期」とオーサカ=モノレールの中田さんが話していました。日本で言うと定年後なんですけどね! 素晴らしいの一言に尽きますね。
今回のライブはマーサさんの圧倒的な存在感が完全にメインになっていて、オーサカ=モノレールがそれを見事に引き立てていました。想像ですが、2年間に及ぶ交流の中でコミュニケーションがかなり取れてたんじゃないでしょうか。お互いの呼吸がわかっていたというか、すごく充実感に満ちたステージングだと感じました。個人的にはトランペットのお二人(山懸さん・淡路さん)の演奏に特に痺れました。すごくタフな音を鳴らしていて興奮しましたね。
マーサさんのヒストリーについては、オーサカ=モノレールの中田さんがブログで超詳細に解説されています。すごい情報量! ぜひ御覧ください。
では。
こちらもおすすめ
↓前回来日公演のレポート。
2015.12.02
JB楽団の歌姫マーサ・ハイ来日!日本でのアルバムリリースも
レディースエンジェントルメン、ファンキー社長の作者JAYです。2015年夏に来日したOriginal James Brown Band(オリ...
↓若き日のマーサ・ハイがモータウンに行ったら閉まってたというエピソードを元にしました。
2015.11.22
第36話「ファンキー社長の敵対的買収」
こちらもどうぞ ↑2015年5月に日本で公開されたジェームス・ブラウン氏の伝記映画「ジェームス・ブラウン〜最高の魂を持つ男〜」で出た強烈エピ...