第13話「ファンキー社長の映画公開」【元ネタ解説】

読みもの

 

 

ここではネタばれというかネタばらしとして、マンガの中で使っている元ネタについてちょっとお話しします。今回は第13話「ファンキー社長の映画公開」についてです。

 

ジェームス・ブラウンの映画公開記念

 

 

もはや元ネタの説明不要な気がしてますが、「ジェームス・ブラウン〜最高の魂を持つ男〜」ネタです。

 

 

 

さて、この映画は原題「Get On Up」として2014年8月1日に封切りされました。ちなみに日本公開は2015年5月30日。ジェームス・ブラウン氏の死後、実に約8年を経て、こうして私たちの元にも届くことになった本作ですが、その完成までは紆余曲折があったようです。

 

伝記映画の監督はスパイク・リーになるはずだった?

 

というのも、前回のネタばれでお話に挙がったスパイク・リー監督が、実はかつてジェームス・ブラウン伝記映画の監督として制作を進めているという話がありました。この話題はジェームス・ブラウン氏がまだご存命だったころから挙がっていた事実だったようです。当時は伝記映画をつくる権利をパラマウント社が保有していたということでした。

 

 

 

しかしその後、配給はユニバーサル、監督はテイト・テイラー氏が務めることが公式に発表されます。

 

 

 

テイト・テイラー氏は2011年公開「ヘルプ!〜心がつなぐストーリー〜」で1960年代を舞台に白人女性と黒人メイドの関係を描き、興行収入1億7500万ドルの成功を収めた監督です。

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「Get On Up」総合プロデューサーのブライアン・グレイザー氏は、ローリング・ストーン誌のインタビューに対して答えました。

 

 

 

初めはスパイク・リー氏を起用しようとしていた。しかし権利の都合上、自分ではそれを決めることができなくなり、また、より低予算で映画をつくることを求められた。その後、正式にテイト・テイラー氏が監督を務めることが決まった。

 

 

 

ざっくりした訳ですが、そんな感じのことを言っていました。プロジェクトの中で権利がよそに移り、スパイク・リー氏を起用する権限を持てなくなった、もしくはより低予算で作ることを求められた上でスパイク・リーを選択することができなくなった・・・ということなんでしょうね。

 

 

 

インタビューでは、こうした質問もありました。

 

 

 

「白人だからテイラー氏を起用した」という非難もありますが?

 

 

 

ギョッとする質問でした。グレイザー氏が口に出さない胸の内にどんな思想を秘めてるかはわかりませんが、今の時代にあってこういう質問が出てくるほどに、アメリカでは未だ生きている問題だということが生々しく理解できます。

 

 

 

質問に対して、グレイザー氏はこれを否定。

 

 

 

自分はキャリアの中でたくさんの黒人アクターたちと関わってきている。また、テイト・テイラーは『ヘルプ!〜心がつなぐストーリー〜』でも偉大な仕事をしている人間だ。権利の都合上、スパイク・リー氏を起用することができなかったんだ。

 

 

 

こうした経緯を経て生まれた「Get On Up」、アメリカでは公開初週に第3位を獲得という好調な滑り出しを見せ、日本でも時期のズレはあるものの地方含む多くの映画館で公開されました。

 

 

英語版はすでにDVD化もされています。2015年8月時点ではまだ日本語版の情報は得られていませんが、待ち遠しいばかりです。

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公式サウンドトラックもリリースされています。特に、一拍目(The One)のフィーリングをメンバーに伝える「10. コールド・スウェット、パート1」がオススメです。映画と併せてぜひお聴きください。

ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~オリジナル・サウンドトラック:the best of JB

 

 

ところでマンガでは社員たちが映画館に並んで観ていますが、実際には、メイシオさんは映画を観てないという話も聞きました。ダニーさんは観たそうです。実際に登場した本人たちの中には、マンガと同じようにホントに「なんだこの映画・・・」と思った人もいるかもしれませんし、「最高にファンキー!」と思った人もいることでしょうね。どんな気分なんだろう・・・。

 

 

 

おしまい。

 

 

 

JAY

JAY

1984年生まれのファンク・マンガ・ライター。ソウルの帝王ジェイムズ・ブラウンを元にした「ファンキー社長」をはじめ、ファンク・ヒップホップをサンプリングした4コママンガを描き続けています。漫画アクションで「ファッキンJAYのマイルド・スタイル」を連載中。

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